日本人の総人口の減少幅が初めて年間50万人を超え、国産農産物の需要減が加速する可能性が高くなっている。特に影響が大きいのが主食用米。ほぼ全量を自給しており、野菜や畜産物のように輸入品からの需要の奪還が見込めないためだ。今後も人口の減少幅は拡大し、その影響だけで年に数万トンの需要が消えることになる。
減少幅は数万トン規模
総務省が公表した住民基本台帳に基づく今年1月1日現在の日本人の総人口は、前年比50万5046人減の1億2427万1318人。減少は11年連続で、減少幅は過去最大だった。 一方、農水省の2019年度の食料需給表によると、米の年間消費量に相当する1人当たり供給量は53キロ。人口の減少幅とかけ合わせると、1年間で約2万7000トンの需要が失われた計算だ。 国立社会保障・人口問題研究所は、今後も人口の減少幅は拡大し、外国人を含めた総人口は29年に1億2000万人を割り込むと推計する。その分、米の需要量の減少幅も大きくなる。 加えて、米の需要量はもともと長期減少傾向にある。19年度の1人当たり供給量も、前年度より0・5キロ減。日本人の総人口から試算すると、年間6万2000トン超の需要が減ったことになる。 農水省は、毎年秋に示す米の需要見通しに人口減少の影響を反映するため、18年から計算手法を見直した。すると、毎年8万トン程度だった減少幅は10万トン程度に拡大。4年間で東北地方の1県分程度、5年間で北海道や新潟県の生産量と同程度の需要が減る計算になる。新型コロナウイルス禍による外食やインバウンド(訪日外国人)の需要減が長期化する恐れもある。 需給調整にも影響が及ぶのは必至だ。農水省は20年産の主食用米の適正生産量を709万~717万トンとしているが、需要の減少幅を織り込めば21年産では700万トンを割り込みかねない。米需要の減少幅の拡大に、転作面積の拡大が追い付かなくなる可能性がある。 既に麦や大豆、飼料用米などによる転作拡大には「現場に限界感がある」(JA関係者)。新型コロナ禍による家庭食回帰や健康志向、輸出など新需要の開拓も必要となるが、自民党農林幹部は「地域に適した作物を選び、米から完全に切り替える本作化も検討すべきではないか」と指摘する。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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