高市早苗総務相は20日、記者会見し、鈴木茂樹事務次官がかんぽ生命保険の不適切販売問題を起こした日本郵政グループに対する行政処分案の検討状況について漏洩(ろうえい)していたと発表した。20日付で停職3カ月の懲戒処分にしたが、鈴木次官は同日付で辞職した。事実上の更迭となる。
高市氏は記者会見でまず、「日本郵政グループの鈴木康夫取締役上級副社長に漏洩を行っていた。本件は情報の漏洩によって、公務の中立性を損なう非違行為であり、国家公務員法99条に定める信用失墜行為にあたる」と説明した。
その上で「昨日、国家公務員法84条に基づく、懲戒権限として、鈴木次官に停職3カ月の懲戒処分を決め、鈴木次官に伝えた。本件処分を受け、本日、事務次官から辞表が提出され、辞職を承認した」と経緯を語った。
20日の閣議で、鈴木次官の退職、黒田武一郎総務審議官が総務事務次官に昇格する人事を決めた。
高市氏は「総務省の事務方トップにある事務次官の公務に対する信頼を失墜させる行為を行ったことがまことに残念。総務大臣としておわび申し上げる」と陳謝し、自身の給与を3カ月間、自主返納することを明らかにした。
高市氏は今回の不祥事の背景として、「日本郵政の鈴木上級副社長は総務事務次官を務めていたOB。先輩にあたる鈴木上級副社長へ漏洩があったということで、総務省OBが日本郵政グループなどの取締役に就任することは問題があると思った。郵政グループの人事の認可にあたっては、このような観点からも厳正に臨んでまいりたい。今後、公務に対する信頼を取り戻すべく新体制のもとで、総務省一丸となって、職務に取り組む」と語った。
この後、報道陣との質疑に入った。
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--衝撃的な内容。大臣の受けとめは。なぜ、このような事態になったと考えているか
「時系列的に12月13日以降、日本郵政に鈴木前次官が情報を漏洩していた。12月17日に内部監察を命じ、調査を開始した。前次官から、私と官房長で聞き取り。電話などでの漏洩を認めた。昨日、前次官には自宅待機を命じた。昨日、私から総理、内閣人事局長に内部監察の結果、処分の方針、審議内容を報告した。処分内容を前次官にお伝えしたところ、前次官から辞意表明があった。新体制を持ち回り閣議で承認した」
「12月17日には私の立ち合いのもと、鈴木事務次官に聞いたところ、非違行為を認めた。そもそもは日本郵政の鈴木副社長への言動など、報道機関を含むさまざまな情報をいただき、大臣室の中で少数の幹部で行っている会議が漏洩しているのではという疑念があった。原因は、やはり、同じ郵政採用の先輩後輩の中でやむえない状況があったのではないかと拝察するが日本郵政2社に緊急命令を出している。私が就任した9月30日にも、日本郵政から報告を受け、それは、まだ調査中で、さらに、調査を加速するよう口頭指導を行った」
--日本郵政の誰に情報を漏らしたのか。漏洩は向こうから働き掛けがあったのか。
「鈴木次官が漏洩があったと事実を認めた。相手は鈴木副社長であると認めた」
--働きかけは郵政側からあったと考えていいのか、
「日本郵政の鈴木副社長への調査はしていない。あくまでも、大臣室でごく少数の幹部だけで重要なやりとりをしている内容が先方に漏らしたということをお認めになった」
《淡々としたやりとりが続いていたが、次第に高市氏の説明は長くなっていく》
--漏洩が分かった端緒と時期は。原因をどう考えるか
「動機は聞いていない。事実を認めた。どのように事実確認をどう行ったかは、あってはならないことだが、再度監査を行わなければならない事情があるので情報源や監察の具体的な方法はコメントを控える」
「私が最初に疑念を持ったのは、報告徴求命令を出した12月13日のこと。13、14、15、16日とさまざまな動きの情報をいただいた。報道機関の方からも幹部の動きについて情報をいただいた。だんだんに疑念というものがあり、大臣室に入っていた人間はごく限られていた。大変重要な話をするときは、大臣室長と担当の秘書官も外していた。事務次官と局長、部長だけということもあった。漏れていたとしたら、ごく少数の方しか知りうる立場にないと思います」
--総務省の元次官が日本郵政に天下り。弊害は
「先ほど申し上げたが、日本郵政の取締役の選任決議は、総務大臣の認可を受けないと効力を発揮しない。鈴木氏の人事は私が前回、総務大臣に就任する前の年、新藤大臣が見極められたうえで平成26年6月20日に認可した。毎年認可をしてきたが、認可に対しては、先方からの記載書類に取締役選任理由の妥当性、会社との利害関係において、目的にかなっている、特段問題がなければ、認可することになっている」
「前回の在任中のことを思うと、前任大臣が審査して認可された方はそのままで、前回は新たに取締役になられる人に絞って、履歴などを確認して認可した。前回は、東芝の経理にかかわっていた人が入っていたので、その人を除くという特異な方法をとった。今回のようなことが起こると、旧郵政採用で、事務次官まで務めた人がいて、同じく旧郵政採用の事務次官いるという中で起こったできごと。私は、取締役などに総務省OBが就任するということは、認可のときにリスクを考慮しながら、行っていかないといけない」
「NHKとの問題もあった。やりとりの時も鈴木副社長がNHKに出された書類も、事務次官であることを強調されており、あまりいい感情を持たなかった。今後、直接人事の認可権がある、行政処分を行う対象に対しては、十分に気を付けた人事を行わないといけないと思っている。(続く)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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