気象庁は今年の梅雨期から、短時間で集中的な豪雨をもたらす「線状降水帯」が発生したことを発表する。発生予測ではないため、河川の氾濫(はんらん)や土砂災害などが起きるまでには短い時間しかないが、緊急の避難や対応の呼びかけへの活用が期待される。
線状降水帯は、積乱雲が次々とできて帯状に連なる現象。水蒸気を大量に含んだ空気が狭い範囲に集中的に流れ込むことで発生する。昨年7月に熊本・球磨川が氾濫した豪雨の要因となったほか、2017年の九州北部豪雨、14年の広島市での豪雨災害などをもたらした。
気象庁は、様々な観測情報をもとに線状降水帯の発生を確認できた場合に発表する。詳細な発表基準や情報の名称については最終調整をしている。発生場所はすでに豪雨になっている可能性が高いが、氾濫などが起きる前に住民が安全な場所へ移動したり、自治体が災害対応を呼びかけたりすることができる。
気象庁は将来的には、今の技術では困難な発生予測を発表したい考えだ。発生に関係する海上の水蒸気量などを観測するため、今年から2隻の観測船も派遣する。海上保安庁の船にも協力を依頼している。
また、各地域の気象観測システムで上空の湿度を観測できるようにするなどし、来年には発生確率を出すことも想定。スーパーコンピューター「富岳」やAI、気象衛星「ひまわり」の後継機なども活用し、10年後には、土砂災害や洪水などの危険度を地図上に表す「危険度分布」にも反映する構想だ。(山岸玲)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル