繰り返される「指導死」なくすために必要なこと 子を失った親の訴え

 福岡市の私立博多高校で2020年、当時15歳だった剣道部の女子部員が自殺したことをめぐり、学校側が顧問からの暴言や暴力が原因だったと認め、遺族との和解が成立した。教員の不適切な指導による子どもの自殺が後を絶たないのはなぜか。息子が学校で指導を受けた直後に自殺し、一般社団法人「ここから未来」を立ち上げて学校での体罰やいじめなどについて調査・研究を続ける大貫隆志さん(65)に聞いた。

 「また、学校での指導が原因で子どもの命が失われてしまった。悲惨な前例がいくつもあるのに、いまだに自分事としてとらえていない学校が少なくない」

 大貫さんは今回の件についての報道を受け、無念さをにじませた。

 00年、中学2年生だった大貫さんの次男、陵平さん(当時13)が自殺した。学校でお菓子を食べたことを教師にとがめられ、1時間半にわたって叱られた翌日だった。

 亡くなった博多高校の女子生徒は顧問から繰り返し暴言を浴びていたほか、他の部員の前で地面に倒すといった暴力を受けていた。

 大貫さんは「明らかに通常の指導を逸脱しており、刑事事件として扱われてもおかしくない」と語る。

 教員に叱られたり、体罰を受けたりして子どもが自殺に至る事態は「指導死」とも呼ばれ、全国で繰り返されてきた。

 学級内や部活内など状況に違いはあるが、背景にある構造は共通していると大貫さんは指摘する。

 「学校の管理職が責任をもって指導死を防ごうという体制になっていない」。悪質な場合には顧問や管理職の刑事責任を問うことも必要だと訴える。

 また、管理職は不適切な指導…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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