ヴァレンティノは、創業の地ローマにあるコロンナ美術館を会場に、2021年春夏オートクチュールコレクションの無観客のショーを映像で配信した。美術品が並ぶ豪華な内装に溶け込むように、凝った手仕事を満載した大胆なフォルムのドレスやスーツが並んだ。デザイナーはイタリア生まれのピエール・パオロ・ピッチョーリ。
たくさんの布片を手でつなげたようなドレスや、スパンコールがびっしりと刺繡(ししゅう)されたフレアースカート。おなかの部分でゆったりと優雅に布が垂れ下がるスレンダーなドレス。大きなタックを取ったすそ広がりのロングスカートなど、いかにもオートクチュール的でドラマチックな印象の服に、ニットなどカジュアル感のあるアイテムを合わせて現代的に見せる。サテン風などエレガントな素材にもあえて軽くしわが寄せられている。
色はライラックやオレンジ、イエロー、淡いブルーなど花を思わせる明るさがあるが、どれも微妙な色合いで印象深い。ぽっくりげたのように高い厚底のシューズがスタイリングに迫力を添える。
ブランドによると、「思考する心、ものを生み出し価値を与える手。これは人間をたたえるコレクション」とのこと。映像の最後に、アトリエの職人も白衣にマスク姿でランウェーに並んだ。
新作発表の数日後、このオートクチュール作品を作る過程や職人の手仕事などを追った映像も発表された。人工知能にヴァレンティノのオートクチュールについて学習させ、制作した映像だという。(編集委員・高橋牧子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル