華やかな衣装を身にまといランウェーを歩く。多くのレンズが一斉に向けられる。8月、義足の女性がモデルになる「切断ヴィーナスショー」での一幕だ。
大学2年生の湯口英理菜さん(20)は先天性の病で3歳の時、両大腿(だいたい)から下を切断した。小学生までは兄やその友だちと近所の公園でよく遊んだ。しかし中学になって制服になると、スカートからのぞく義足に他人の視線を強く感じるようになった。行動を控えるようになった。
転機は中学3年。義足の人が集うスポーツクラブに誘われたことだった。自分と同じ境遇の人が走る姿に驚いた。高校では陸上部に。「まさか自分から義足をさらけ出すとは」と振り返る。同時にモデルも始めた。
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今は日本体育大学でパラリンピック出場を目指す。自身の障害クラスでは200メートルの世界記録を持つアスリートだ。
ファッションが好き。進路にあった美容師かスタイリストの夢は後にした。今は陸上をやり抜きたい。「ショーでは好きなスカートを堂々と着られます。今は練習着が多いので」。細める目は輝いていた。(池田良)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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