将棋の第33期竜王戦七番勝負第2局は22、23日の両日、名古屋市中区の万松寺で指され、挑戦者で後手の羽生善治九段(50)が96手で豊島将之竜王(30)=叡王=を破り、対戦成績を1勝1敗の五分に戻した。前人未到の通算タイトル100期を目指す羽生九段は先月下旬に50歳となったが、巧みな指し回しで初防衛を目指す20歳下の豊島竜王に完勝した。第3局は11月7、8日に京都市で行われる。 対局開始から8時間10分が経過した午後5時10分。豊島竜王が深々と頭を下げた。持ち時間を30分以上残す相手に投了させるほどの完勝だった。 「仕掛けていく辺りはだいぶ迷ったんですが、思い切っていきました。ずっと、きわどい展開と思って指していた」 第2日は封じ手だった羽生九段の60手目、△8六歩から再開。終盤は攻め合いとなったが、切れ味鋭い手で先に相手玉へ攻め込んだ。 指し回しも老獪。第1日は先手の豊島竜王が得意の角換わりを選択したが、羽生九段は34手目で△1四歩と変化。事前研究が強みである相手に対抗するため、あえて定跡から外れる手を選び、経験を生かせる力戦へ引きずり込んだ。竜王戦七番勝負史上最短の52手で敗れた第1局の悔しさを、96手の完勝で晴らした。 史上初の永世七冠を達成したレジェンドは、9月27日で50歳になった。今シリーズは前人未到の獲得タイトル通算100期を目指すが、年齢との戦いでもある。 ある年配のプロ棋士は「棋士のピークは30歳前後。40代でも何とかなるが、50歳になると力はガクッと急落する」。初タイトルを46歳の史上最年長で獲得した前王位の木村一基九段(47)も「2日制のタイトル戦では、集中を続けるだけでも30代のときより疲れを感じるようになった。座り続けているだけでも大変」と証言する。 そんな苦境を節制で克服。コロナ禍でステイホームが続いた期間はウオーキングで体脂肪を燃やし減量に成功。ストレッチで下半身をケアする。 今シリーズは1勝1敗の五分に戻し、豊島竜王との対戦成績も18勝17敗。「引き続き、いい将棋が指せるように頑張っていきたい」。勢いに乗って第3局に臨む。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース