運転開始から40年を超える老朽原発を含む関西電力美浜3号機(福井県美浜町)と高浜1~4号機(同県高浜町)について、地元住民らが運転の差し止めを求めた仮処分申請で、福井地裁(加藤靖裁判長)は29日、いずれも却下する決定をした。住民側は名古屋高裁金沢支部への即時抗告を検討している。
差し止めを求めたのは、美浜原発は約11~56キロ圏に住む同県の9人。高浜原発は同県などの2人。
2011年の東京電力福島第一原発事故後、原発の運転期間は原則40年とするルールができた。だが、原子力規制委員会が認めれば最長20年延長でき、美浜3号機、高浜1、2号機に適用した。
住民側は老朽化で事故の危険性が高まっていると訴えたが、決定は、関電が経年劣化を十分考慮した上で機器の耐震安全性を確かめており、規制委の判断は合理的と評価。耐震設計の前提となる揺れの想定も適切だとした。
美浜については震源となりうる活断層が「極めて近い場合」に求められる特別な配慮を関電側が怠ったと住民側は主張。だが決定は「『極めて近い場合』に当たらないとの関電と規制委の判断は不合理とはいえない」とした。
住民側は1月の能登半島地震を踏まえ、「避難計画に実効性がない」とも主張したが、決定は「避難が必要な事態が起きる具体的な危険性が立証できておらず、避難計画について判断するまでもない」と退けた。(永井啓子)
■住民側「また福島第一原発の…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル