富永鈴香 河合博司
2日午前0時20分ごろ、茨城県桜川市真壁町古城の鈴木醸造(鈴木正徳社長)から出火し、木造と鉄骨の醸造所など計4棟・約1416平方メートルが全焼した。このうち1棟は江戸時代末期に建てられた国登録有形文化財の「主屋(しゅおく)」。桜川署などが出火原因を調べている。
署の発表によると、消失したのは、醸造所のほか、木造の倉庫2棟、木造2階建ての住宅兼事務所。近隣住民が119番通報し、約11時間後に鎮火した。けが人はいなかった。
鈴木醸造は1925年創業で、しょうゆなどを製造する。桜川市などによると、木造2階建ての住宅は主屋として1854(嘉永7)年に建てられた。入り母屋造りの玄関を張り出した江戸時代末期の大規模な農家住宅で、上層農家として格式の高さを表す。明治時代初期に建築された長屋門(ながやもん)と合わせて、2000年に国の有形文化財に登録された。長屋門は被災を免れたという。(富永鈴香)
桜川市内には、江戸後期から明治期に造られた土蔵や、昭和初期以前の民家や商店、洋風建築の郵便局などが多数集まる「重要伝統的建造物群保存地区」がある。市が景観を保護する「真壁の町並み」とも呼ばれ、鈴木醸造はその一角にある。
2日午後2時過ぎ、市内の寺の住職(70)と親戚の男性(70)が鈴木醸造に見舞いに訪れた。寺に時々、鈴木正徳社長(58)の家族が座禅に訪れていたという。鈴木社長が住職らに応対していた。
隣接する民家の女性(78)は取材に「午前0時過ぎ、異様に外が明るくて火事に気づいた。火の勢いがすごかった」と話した。(河合博司)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル