東京・羽田空港の滑走路で日本航空(JAL)と海上保安庁の航空機同士が衝突、炎上し、5人が死亡した事故。過去にも、離着陸時の管制官と操縦士の交信をめぐり、大事故につながりかねない事例がたびたび起きていた。これまでの運輸安全委員会の調査報告書から今回の事故との共通点を探った。
国土交通省が公表した交信記録によると、今回の事故では、飛行場管制(タワー管制)の管制官は海保機に滑走路手前まで走行するよう伝え、海保機も復唱。しかし、海保機は滑走路に進入した。海保機の機長は事故後、海保の聞き取りに「進入許可が出ていると認識していた」と答えたという。ただ、公表された交信記録には管制官が進入許可を出したことは確認されていない。国交省は「記録を見る限り、進入許可は出ていない」としている。タワー管制との交信に切り替える前の地上管制(グランド管制)とのやりとりは公表されていない。
誤進入を防ぐための対策は、過去に議論されていた。2007年9月~11月に大阪(伊丹)、関西、中部の各空港で誤進入が相次ぎ、いずれも航空機同士の衝突の恐れなどがあったとして、運輸安全委が「重大インシデント」と認定。調査報告書が公表されている。
「滑走路手前で待機」、操縦士復唱するも誤進入
調査報告書によると、同年11月11日午後1時すぎ、中部空港で、中国南方航空機が離陸のため、滑走路に向かっていた。「hold short of runway 36(滑走路36手前で待機)」。管制官がこう指示し、中国機も同じ内容を復唱した。ところが同機は停止線を越え、滑走路に向かおうとした。
このときは管制官が中国機の…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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