広島市の職員研修の市長講話で戦前・戦中の「教育勅語」の一部を引用していることについて、松井一実市長は27日の定例会見で「新年度以降もちゃんと説明しながら使いたい」と述べ、引用を続ける考えを改めて示した。
松井市長は市長就任翌年の2012年以降、新規採用職員研修と新任課長級職員の研修で教育勅語の一節を引用している。22年4月の新規採用職員研修の資料の「生きていく上での心の持ち方」と題した項目では、「爾(なんじ)臣民 兄弟(けいてい)に 友に」で始まる一節を引用した。
教育勅語は戦前・戦中に国民を戦争へ動員する思想統制に利用され、戦後は日本国憲法と相いれないとして国会で排除・失効が決議されている。
27日の会見では、教育勅語について「市民の間にいろんな意見がある」「行政にいろんな要望があるという、そういう典型的な材料」などと従来の説明を繰り返した。
教育勅語について「あれがいいとか言ってるわけではありません」とした上で、政府が17年に教育勅語について「憲法や教育基本法に反しない形で教材として用いることまでは否定されない」との答弁書を閣議決定したことに言及した。
日本の町内会・自治会が戦時下で国民統制の末端組織として機能し、戦後にGHQの命令で解散したことを説明。「(町内会は戦後も)ずっと機能してたんですよ。そういうぐらいの意味なんですよ」と述べ、教育勅語について「そういうことの典型例として申し上げている」と話した。
会見の最後では「みなさんが私から言えば、『ためにする議論』をされてるから、あえてがんばっていると受け止めてください」「私は教育勅語を復活したいと思っているかもしれないとか、そういうのは疑心暗鬼から入ってるんですね、みなさんは。そうじゃないと申し上げていることを信じていただけない」などと語った。(魚住あかり)
広島の首長たちの見解は
広島県内の首長たちはどう受け止めているのか。直近の定例会見などで意見を聞いた。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル