大豆など植物由来のたんぱく質を使って、肉の風味を再現する「代替肉」市場に、肉の本家ともいえる食肉加工メーカーが家庭向け商品を相次いで販売し、本格参入している。欧米を中心とした「脱ミート」の流れが加速し、食肉業界に変化が起きていることが背景にある。食の国際情勢の変化に乗り遅れまいと、農林水産省も協議会を立ち上げ、新分野の研究を後押ししている。(長谷文)
代替肉は、主に大豆などを使った植物由来の肉と、培養技術を使った培養肉に分けられる。培養肉は国内では研究開発段階で、まだ市場に出回っていない。
植物由来の代替肉の商品化は、食材メーカーや外食チェーン店が先駆けて取り組んだ。食肉大手は家庭用向け商品で、2017年に丸大食品が、20年には日本ハム、伊藤ハムが参入。今年もプリマハムがマルコメと共同で肉を使わないハンバーグやミートボールなどの新商品を発売した。
世界の潮流、食肉メーカーも参入
「脱ミート」は世界的な流れになりつつある。国連食糧農業機関(FAO)は13年、世界の人口が50年までに90億人近くになると見込まれ、たんぱく源が不足するとして、昆虫を食材や家畜の飼料に活用することを勧める報告書を発表した。牛、豚、鶏を飼うには大量の水や飼料が必要で、肉類の大量消費が地球温暖化につながるとの認識も徐々に広まり、欧米を中心に菜食志向が高まりつつある。
さらに、日本特有の事情として、東京五輪の訪日客を取り込みたいと考えた外食産業の需要や、コロナ禍の巣ごもりで消費者の健康志向が高まったことなどが加わった。
とはいえ、各社とも「肉屋」…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル