公務員の肖像権はどこまで守られるべきなのか――石川県の馳浩知事が、地元の石川テレビ(フジテレビ系列)が制作したドキュメンタリー映画「裸のムラ」への批判を強めている。自身や県職員の映像を「無断で使用している」として、同社社長に対して公の場での議論を求める。石テレは「特段の許諾は必要ない」と応じていない。
「裸のムラ」は、同社が2022年10月に公開したドキュメンタリー映画だ。同年3月に行われた知事選挙をメインの舞台に、谷本正憲前知事や馳知事、森喜朗氏を取り巻く人々の「忖度(そんたく)」や男尊女卑の空気感をとらえようとしている。
馳知事「県職員、演出に使われた」
作品内では、県庁で行われる記者会見や県議会の議場で撮影された映像が使われている。その一つが、議場の知事の席に置かれた水差しについた水滴を、丁寧に拭き取る女性職員を背後から映したシーンだ。
時間が経てば再び結露するにもかかわらず、拭い続ける姿について、五百旗頭(いおきべ)幸男監督は「過剰な忖度だったり、長年、脈々と思考停止になりながら受け継がれてきたりしたものが見える」と朝日新聞のインタビューで語っている。
馳知事は元日にプロレスイベントに参加した際の映像提供を要請のあった地元メディアには提供したが、石川テレビには拒否した。その理由に挙げたのがこの映画だった。映像に映る県職員の顔や胸につけた名札が判別できる状態で、それが商業映画として公開されたことだ。
そうした映像が「演出」とし…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル