いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」が、北海道・知床沖で発見した新種の深海魚「モユククサウオ」の標本を、先月から館内の親潮アイスボックスのコーナーで展示している。世界で430種以上いるとされ、腹部の吸盤で海底に張り付いて生息するクサウオ科だが、吸盤が退化した珍しい種だという。
同館や京都大などの共同研究で、先月16日に日本魚類学会の英文誌オンライン版に新種として公表した。同館によると、新種は体長26センチほどで、腹部の吸盤が痕跡しかなく、胸びれが長いことが特徴。暗い深海で浮遊しつつ、胸びれでエサなどを感じ取っていると考えられるという。
夜間にエサを探して歩くタヌキの生態に似ていることから、アイヌ語でタヌキを意味する「モユク」と名付けた。発見した同館飼育員の松崎浩二さん(46)は「深海を浮遊するクサウオ科はこれまで世界で3種しか見つかっていない。新しい発見をぜひ見に来てほしい」と話した。(古庄暢)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル