松本英仁
最大震度7を観測し、44人が死亡した北海道胆振(いぶり)東部地震から6日で5年になるのを前に、自治体の中で最多の37人が犠牲になった厚真(あつま)町で2日、追悼式が営まれた。国や北海道が進める河川や農地などの大型復旧工事は今年度内に終了する見込みで、今後は被災者の心のケアや災害を乗り越えた新たな地域づくりなどに課題が移る。
追悼式には遺族ら約260人が参列した。宮坂尚市朗町長は式辞で「私たちは全力で生き、愛する人たちを守り抜くため、いつ発生するかわからない災害に備え、多くの支援を賜った使命として命を守る防災・減災対策を牽引(けんいん)する」と述べた。
遺族を代表して、両親を亡くした畑島武夫さん(61)が「これまでの地震の歴史や教訓をいかせず、大切な人やものを失って、ようやく伝え、備えることの大切さを学んだ。災害の記憶と教訓、備えの大切さを風化させずに後世に伝える」とあいさつした。
地震は2018年9月6日午前3時7分に発生し、厚真町と隣接する安平(あびら)町、むかわ町で大きな被害が出た。国土交通省によると、山の表面をおおう土壌が崩れ落ちる「表層崩壊」の面積は44平方キロに及び、就寝中の住民が住宅ごと押し流されて多くの犠牲者が出る原因となった。明治以降の主な地震災害で最大とされる。さらに地震直後に国内初の「ブラックアウト」(全域停電)が起きた。(松本英仁)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル