能登の「外国人窃盗」デマ、どう広がった SNSで避難所の会話変質

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平川仁 根岸拓朗

 能登半島地震の後、被災地で「外国人の犯罪」についての根拠不明の情報が広まった。取材を進めると、当初は口づてだった情報がSNS上に広まり、その形すら変えながら拡散されていく様子が見えてきた。(平川仁、根岸拓朗)

「マイクロバスで窃盗」

 中国人がマイクロバスで来て、窃盗をしている――。1月3日夜、被災地の集落の住民の間で、そんな情報がLINEを通じて広まった。石川県警に2月上旬、取材したところ、集落がある自治体で、こうした犯罪は確認されていないという。

 なぜ、どこから情報が広がったのか。発信元を探ると、最初に投稿したのは、地元消防団の分団長を務める40代男性とみられることがわかった。男性が2月、朝日新聞の取材に応じた。

 元日の地震当日は、別の自治体にある妻の実家で被災。車で高台に避難し、車中で夜を過ごした。翌日に集落に戻り、消防団の活動で、断水したトイレに使う水くみや地域の巡回、住民の安否確認などに追われた。

 睡眠不足も重なり、疲れ切っていた3日午後8時40分ごろ。避難所で中年の女性が訴えてきた。「中国人がマイクロバスで窃盗をしているらしい。情報を流して巡回をしてほしい。今すぐやってもらわないと、どうなるか分からない」

LINEグループに送信

 道路状況が悪いのに、外からマイクロバスで入れるのか。でも、もし本当だったら――。

 聞いた話をスマホで打ち込んだ。「マイクロバスで中国人、窃盗」「大至急、拡散してください」。集落の住民や団員で作るLINEグループに送った。

 その後、団員とポンプ車で巡…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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