能登半島地震で、国や石川県が「3月末までにおおむね解消する見通し」としてきた被災地の断水の復旧について、被害の大きい5市町で達成できないことがわかった。その戸数は約7860戸にのぼり、珠洲市はほぼ全域で復旧していない。県は「想像以上に浄水場や配水管の被害が大きかった」としている。
断水の解消は、本来は各市町の所管だが、避難者が早期に戻り、人口流出を防ぐため、馳浩知事が前面に立ち、解消時期を明示していた。
元日の発災時、断水は最大で16市町の約11万戸に及んだ。今月1日時点で7市町の約1万8千戸となり、馳知事は、「珠洲市の一部地域」を除き、3月末までに復旧させる見通しを示した。
武見敬三厚生労働相も22日の閣議後会見で、「3月末までに石川県内の断水がおおむね解消する見込みだ」と述べていた。
だが、県が29日に発表した資料は、珠洲市でほぼ全域の約4250戸、輪島市で約2600戸、能登町で約800戸など5市町で約7860戸あるとした。輪島市(約1万1千世帯)も約4分の1が復旧していないことになる。
県生活環境部の担当者は、朝日新聞の取材に、3月末までの復旧が難しいことを認めた。
国の資料によると、今回の地震では、水道管路1キロあたりの被害が輪島市で2・63カ所だった。熊本地震(熊本市)の0・03カ所、東日本大震災(仙台市)の0・07カ所、新潟中越地震(新潟県長岡市)の0・30カ所などを大きく上回っており、被害の深刻さがうかがえる。
また、発表する断水戸数は、家の前を通る水道管が復旧したかどうかで、そこから枝状に家々につながる復旧は別となる。そのため、県が「復旧した」としていても、蛇口をひねると水が出ない家も少なくない。そのため、実際に断水している戸数はさらに多いとみられる。(土井良典)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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