2011年に大津市立中学2年の男子生徒(当時13)が自殺した「大津いじめ事件」をきっかけに、いじめ防止対策推進法ができ、いじめには複数の教職員で対応するようになった。だが、現場からは「担任任せ」の意識は根強いという声も聞こえる。そんな中、大津市は市費で教員を増やし、いじめや不登校対応に専念する担当教員を任命。担任とともに子どもを見守る態勢を強化している。(狩野浩平)
「担任ならクラスの問題を一人で解決できるし、解決すべきだという担任像が、学校現場には強く残っていると感じた」
関西の30代の男性教諭は、この春に赴任した新しい中学校で直面した「いじめ重大事態」を、こう振り返る。
5月上旬、担任をしている男子生徒の保護者から電話があった。複数の生徒からたたかれたり悪口を言われたりしたという内容。他の教員と情報共有し、すぐに関係する生徒に聞き取りを始めた。
しかし被害を訴える生徒と周囲の証言が合わない。一部の生徒が加害行為を認めたが、被害生徒はより多くの生徒から「ちょっかいをかけられた」「にらまれた」と主張。不満な様子だった。
被害生徒の言い分だけで加害行為を認定するわけにはいかない。だが、訴えを認めなければ、被害生徒はさらに心を痛める……。
記事後半では、この教諭が「いじめ重大事態」にどう対処したのかを描くとともに、大津市の取り組みを紹介します。
心のケアと調査、自分一人で担えるか?
被害生徒に寄り添う心のケア…
【1/24まで】2つの記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!詳しくはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル