自分は原発事故の会社の人間… なでしこの聖火は沿道で

 東京五輪の聖火リレーのスタートまで、26日で1カ月となった。東京電力福島第二原発で働く増田亜矢子さん(44)は、スポーツ施設「Jヴィレッジ」(福島県楢葉町、広野町)から聖火が出発するのを心待ちにする。

 増田さんは2005年2月、東電に女子サッカーチーム「マリーゼ」が発足した時、GKとして入った。Jヴィレッジは、マリーゼの練習拠点。別のチームでは土のグラウンドで夜に練習していたが、Jヴィレッジは天然芝で日中練習ができた。

 マリーゼは発足以来、ほぼずっとなでしこリーグの1部リーグで活躍。3年目こそ2部に落ちたものの、4年目には再びトップリーグに。地元のテレビ番組で選手紹介のコーナーができ、街中では「頑張って」と声をかけられた。「29歳で突然アイドルになったようだった」と笑う。

 午前中は、広野火力発電所で広報担当として視察に来る人を案内し、午後に練習する日々。09年に現役引退後も東電に勤め続けた。

 11年3月11日、職場でデスクワークをしていると、突然、携帯の緊急速報が鳴った。地震だった。災害対策本部を作る準備に追われ、津波は見ていない。翌日、事務所で私物をとり、対策本部に戻ろうとした時、ボンという音が聞こえた。対策本部のテレビを見て、目を疑った。第一原発の爆発だった。

 それまで「原子力は安全」と客…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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