5月半ば、社説「コロナと自殺」で「生きるための支援急げ」と書いた。しばらくして読者から封書が届いた。ぬくもりのある黄色い木版画が入っていた。
《つらくてもだめだよ。その命 自分ひとりの命じゃないよ》。そんなメッセージと、心配そうな表情で手をあわせて祈る子猫の絵が彫り込まれていた。
東京都葛飾区の版画家・大野隆司(たかし)さん(68)からだった。手紙が添えてあった。「これから増える不安、資金繰りの困難等々での自殺を止めたいのです。残された家族の苦しみを味わわせたくありません」
詳しく聞きたくて家を訪ねた。捨て猫だったという3匹も出迎えてくれた。
――それはバブル経済が崩れ去…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル