自暴自棄だった過去、「もういいかな」 退園5日目の失敗も乗り越え

 児童自立支援施設滋賀県立淡海(たんかい)学園(甲賀市土山町)の甲賀寮に、中2の途中からやってきたセイジ(18)。一昨年の春、中学を卒業した後も学園にとどまる「年長児」としての生活が始まった。

 セイジは、高校進学に興味はなかった。それよりも自動車整備士になって、早く自立したい。そんな希望を持っていた。

 中卒で元非行少年、車の免許もない。そんなセイジを受け入れてくれる会社探しが一番の課題だった。学園職員のつてで探し回り、市内の自動車整備工場に就職が決まった。

 中学の卒業式の日。あいさつに来たセイジを見て、社長の種村英明さん(44)は「この子なら大丈夫かな」との第一印象だった。「自動車整備工場はどこも人手不足。いちから育ててみようと思いました」

 学園に来るまでのセイジは「自分なんてどうなってもいい。どうにでもなれ」と自暴自棄だった。でも、「先生らが自分のために必死に探してくれた。会社にも学園にも迷惑かけることはできひん。やんちゃはもういいかな」。

 新しいスタートを、寮長の佐伯洸平さん(32)と寮母の香菜さん(41)ら、学園全体で支えた。

 小中学生がまだ寝ている朝6時半にセイジをたたき起こし、香菜さんが朝食を準備。職場まで車で送り、夕方には迎えに行った。

 独り立ちに向け、自転車通勤を始めた。学園から11キロ、片道約40分かかる。いずれ一人暮らしができるよう、寮にある職員専用の宿直室に寝泊まりし、自炊の練習も始まった。

自動車整備士に合格、「仕事が楽しい」

 セイジは1年間の実務経験を…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment