学校法人「森友学園」の国有地売却問題を担当した財務省近畿財務局の職員の男性=当時(54)=が自殺したのは、当時理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)氏らに文書改竄(かいざん)を強制されたことなどが原因として、男性の妻が18日、佐川氏と国に計約1億1260万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴した。
訴状によると、男性は平成29年2~4月ごろ、佐川氏ら幹部の指示で、国有地売却に関する決裁文書を3~4回改竄。作業に伴う長時間労働で心理的な負担が蓄積して鬱病を発症し、30年3月に自殺したと主張している。
自殺直前に男性が残したという手記も公開。《抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか》《今の健康状態と体力ではこの方法をとるしかありませんでした》などの内容が記されていた。
原告側は、男性は改竄などについて自ら真相を説明することを望んでいたと指摘。訴訟を通じ、自殺の原因に加え、改竄の経緯も明らかにされるべきだと訴えている。
財務省が30年6月に公表した文書改竄の調査報告書は、佐川氏が改竄や交渉記録廃棄の方向性を決定付けたと認定。関係者計20人を処分し、佐川氏を最も重い停職3カ月相当とした。
男性の自殺について近畿財務局は30年冬、公務員の労災に当たる「公務災害」と認定した。
森友学園の問題をめぐっては、大阪地検特捜部が補助金の詐欺罪などで前理事長の籠池(かごいけ)泰典被告と妻を起訴。両被告は大阪地裁で有罪判決を受け控訴した。一方、背任や文書改竄などの罪で告発された佐川氏や財務省職員らはいずれも不起訴となっている。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース