次期衆院選の福岡5区で自民党が分裂する様相が強まっている。自民現職の原田義昭前環境相(75)が9選を目指し着々と準備を進める中、自民県議で前県議会議長の栗原渉氏(54)が出馬の意向を表明した。地元自民県議らは「世代交代」を理由に栗原氏支持でまとまりつつあるが、原田氏も一歩も引かない構えで、党県連による候補者調整は平行線。党本部や地域支部も巻き込んだ駆け引きが過熱している。 【写真2枚】原田義昭前環境相と栗原渉氏 20日午前、福岡市博多区の県連事務所。県連の原口剣生会長、松尾統章幹事長らが原田氏を呼び出した。「県連に調整を任せてくれませんか」。松尾氏がこう切り出すと、原田氏は淡々と答えた。「県連に任せるわけにはいかない。公認は党本部が決めることだし、現職優先が原則だ」
松尾氏は公募や党員投票による選考にも言及したが、原田氏は一蹴。協議は約1時間で散会した。原田氏と県連側が向き合ったのは8月以降、この日で3回目となるが、折り合う気配はない。 原田氏は7月、所属する派閥会長の麻生太郎財務相を訪れ「どんな形でも出ます」と断言。麻生氏は「なら、しょうがねえな」と応じたという。麻生氏周辺は「(候補者の)差し替えなんてできない。『世代交代』なんて理屈も通らない」と強調する。
同31日に福岡市のホテルであった政治資金パーティーで、原田氏は「皆さんのご支援をいただき、国の課題に対応していく」と宣言し、麻生氏から届いた「原田君と自民党への支援をお願いします」とのメッセージを紹介してみせた。 原田氏は自身のホームページに「自民系新人がうごめいている」「私が『次の選挙に出ない』と公言したとの悪質なデマが流されている」などと書き込み、強まる世代交代論をけん制。県連関係者は「現職がいる中で公募などによる選考を一度許すと、気に食わない国会議員をすげ替える先例になる」と忠告する。
□ □ 原田氏と地元自民県議らとの亀裂を深めたのは、2019年春の県議選。朝倉市郡選挙区では長年、自民と農政連が議席を分け合ってきたが、原田氏の秘書が出馬したことで保守系候補が3人になった結果、野党系候補に議席を奪われた。 5区内の自民県議6人は連名で原田氏に抗議。7月4日にあった福岡5区総支部会議では、栗原氏の地元の甘木朝倉支部が「原田氏では選挙態勢が取れない」と不満を吐露。同支部は同28日に衆院選候補に栗原氏を推薦する文書を県連に提出した。
ある県連幹部は「現職優先」は認めつつも、原田氏に「栗原君は無所属でも出ますよ」と対決する覚悟を伝達。別の県議は「県議出身の国会議員が増えれば、意思疎通が図りやすい」と打ち明ける。 栗原氏は23日、県連幹部に「決意を固めました。一生懸命やります」と報告。すでに大野城市に事務所を仮押さえし、準備を本格化させている。 県連は27日に執行部会を開いて対応を協議する予定だ。(黒石規之、横山太郎、河合仁志)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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