茶井祐輝
陸上自衛隊松山駐屯地(松山市)の2等陸尉だった男性(当時28)の自死は超過勤務が原因だとして、遺族=滋賀県=が国に約9千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、大津地裁であった。堀部亮一裁判長は「超過勤務の実情を踏まえた適切な配慮がされず、組織的な支援もないまま疲弊し、自死に至った」と認め、国に約7800万円の支払いを命じた。
判決によると、指揮小隊長だった男性は2013年3月以降、例年の倍近い自衛官候補生を対象とする業務や野営訓練などに従事。5月にうつ病を発症して自死した。当初、公務上の災害と認められなかったが、中部方面総監部が審査した結果、業務と自死に因果関係があると認められた。
判決は、自死前の1カ月間の超過勤務時間は168時間に達していたと指摘。上司らは、業務を分担したり、負担軽減策を講じたりしなかったとし「男性は多忙な部署で長期間、長時間にわたる超過勤務を余儀なくされた」と結論づけた。
男性側は「具体的な理由を示さずに決裁を通さないなどのパワハラを受けた」とも訴えたが、判決は「社会通念上、許容される限度を超えた指導とまでは認められない」として退けた。(茶井祐輝)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル