自衛隊からにじみ出る保身の論理 識者「ハラスメント対策に魂ない」

 海上自衛隊で女性が、先輩の男性自衛官からのセクハラや、被害を訴えた後の組織の対応を苦にし、退職した。なぜ自衛隊でハラスメントが絶えないのか。内部統制や不正対策に詳しい八田進二・青山学院大名誉教授(内部統制論)に聞いた。

 ――自衛隊のハラスメントの問題がまた露見しました。どう見ますか。

 「昨年来、陸上自衛隊での性加害問題を反省し、組織を挙げてハラスメント対策に取り組んでいたはずのタイミングにもかかわらず、現場では今回のようなことが起きていた。無論あってはならないことだが、防衛省のホームページ(HP)を見ると、ハラスメントに関するルールや決めごとは、それなりに整備はされているように見える。では何がまずいのか」

 「組織の内部統制やコンプライアンス(法令や社会規範の順守)を考える際に使う『整備・運用』という概念で考えるとわかりやすい。ルールや仕組みといった形は『整備』されているが、そこに魂が入って機能させるという『運用』の部分ができていないのだろう」

「保身の論理が働いた可能性がある」

 ――ルールや対策が組織に浸透していないということですか。

 「そういうことだと思う。旧…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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