「災害大国」日本ではいま、救援・復旧活動で自衛隊への依存が増している。それに加え、中国や朝鮮半島といった安全保障の最前線に対峙(たいじ)しているのが、九州・沖縄を管轄する陸自西部方面隊(約2万5千人)だ。そのトップである西部方面総監を務めた本松敬史・元陸将が8月の退官後、初めてメディアのインタビューに応じた。
自衛隊の「主たる任務」は国防であり、災害派遣は都道府県知事の要請を受けた防衛相が「事態やむを得ないと認める場合」(自衛隊法83条)が基本だ。それでも、地方自治体で対応しきれない災害現場では様々な判断と対応がある。
陸上自衛隊で九州・沖縄を管轄する西部方面隊のトップである総監を8月まで務め、熊本豪雨などに対応した本松敬史氏(58)へのインタビューを続ける。
災害時に自治体から期待される「三つの属性」
防衛省・自衛隊では災害派遣の基準として、自衛隊法83条の解釈から、「緊急性」「公共性」、自衛隊でしかできない「非代替性」という三つの要件を設けている。現場ではどう運用されているのか。
「災害に直面した知事から自衛隊の災害派遣を要請される段階で、三要件についてフィルターをかける下準備は現場でほぼ終わっています」と本松氏は話す。
熊本豪雨の際は、陸自の第8師団(司令部・熊本市)が熊本県と具体的に何をするか検討し、西部方面総監部(熊本市)は傘下の第8師団と東京の防衛省・統合幕僚監部の間で災害派遣に向け調整した。「よって、知事から派遣要請があれば同時刻に受理され、活動開始となります」
東日本大震災や2016年の熊本地震での経験から、自衛隊、特に陸自には災害派遣になじむ「三つの属性」があり、それゆえに地方自治体からの期待が大きいと本松氏は考える。
「被災地で様々な活動ができる…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル