公益社団法人・日本航空技術協会(JAEA)は9月11日、航空専門学校の生徒を対象としたグランドハンドリング(グラハン、地上支援業務)のコンテストを、羽田空港にあるスカイマーク(SKY/BC)の格納庫で開催した。今回が初開催となるコンテストで、各校の生徒がグラハンの知識と技量を深め、他校との交流を深めた。
◆TT車とフォークリフトで競争
参加したのは日本航空専門学校(北海道千歳市)と国際航空専門学校(埼玉・所沢市)、中日本航空専門学校(岐阜・関市)、大阪航空専門学校(大阪・堺市)の4校。グラハンの専門課程は2年制で、各校からは2年生が参加した。
生徒は4人1組のチームで参加し、2つの競技で腕を競った。1つ目の競技は、フォークリフトを操作し、コンテナ運搬車両「ドーリー」に貨物コンテナを搭載した後、ドーリーを「トーイングトラクター」(TT車)でけん引。2つ目はTT車を前進と後退で8の字走行し、操作の正確性やスピードで競争した。
航空各社がコンテストの開催をサポート。全日本空輸(ANA/NH)は、整備訓練に使用しているボーイング737-500型機(登録記号JA301K)をスカイマークの格納庫に持ち込んだほか、スカイマークと日本航空(JAL/JL、9201)グループのJALグランドサービス、ANAグループのANAエアポートサービスの3社がコンテスト開催の準備や運営で協力した。
◆佐藤会長「日本のグラハン技術高い」
JAEAの佐藤信博会長は、今回初開催となったグラハンコンテストについて「各校の統一戦を何としてでもやりたかった」と述べ、満足した様子を見せた。競技に臨む生徒には「他校に負けないように普段の実力を発揮して」とエールを送った。
JALの元整備士で、2016年まで副社長を務めていた佐藤会長は、日本のグラハン技術の高さを評価。「小型機の場合、整備士は1人。グラハンは6人で担当する。日本はいろいろな面で気が付くが、海外のグラハンは日本ほど丁寧ではない」とした。
生徒たちは競技中、いつも通りに「右よし、左よし、前方よし、後方よし」と指差し確認を徹底し、中には声がかれている生徒もいた。競技を終えたある生徒は「(格納庫内の雰囲気が)いつもと違う」と、緊張した面持ちで振り返った。
競技を見守ったある教官は、参加した生徒らについて「われわれも敵(かな)わない。センスがある」と評価。「このレベルだったらどこの会社に入社してもトップクラス」と太鼓判を押した。また「他校の生徒の実力を見られることは貴重で、有意義な大会だ」と述べ、コンテストは生徒たちのほか、教官にも得るものが多いとした。
競技終了後、航空各社から参加した審査員が評価を集計。優勝は中日本航空専門学校で、2位は日本航空専門学校だった。国際航空専門学校と大阪航空専門学校の2校には敢闘賞が贈られた。その後、4校の生徒は整備訓練用の737の機内などを見学した。
審査を担当したANAエアポートサービスの塩入康夫さんは、「(競技内容は)簡単そうで実は相当難しい。各校の選抜メンバーは練習を重ねたのがわかる」と評価。確認行為の徹底は重要だとし、技術の正確さなども審査の対象としたという。
参加した一部の生徒は、ANAエアポートサービスなど航空各社への入社が内定している。塩入さんは未来の同僚に対し「即戦力になる」と技術の高さを評価した。
JAEAは今後も、年1回のペースでグラハンコンテストを継続したいという。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース