佐渡島沖で18日に一時漂流した佐渡汽船のジェットフォイル(JF)「つばさ」は、海水取り入れ口に大型海獣の肉片が詰まり、航行不能になったとみられることが19日分かった。同船は予定より約9時間遅い同日午前2時すぎに両津港に到着。乗客ら40人にけがはなかったが、暖房が切れた船内で長時間揺られ、疲れ切った様子だった。
第9管区海上保安本部が原因を調査した。JFは取り入れた海水をエンジンや発電機の冷却などに用いており、取水ができずエンジン停止や停電につながったとみられるという。海水取り入れ口に詰まった肉片の識別を担当した新潟市水族館「マリンピア日本海」によると、海保から一辺20~50センチほどの肉塊が持ち込まれたといい、担当者は「骨の大きさ、厚みからみて、魚ではなく大型海獣とみられる。クジラかアザラシのような生物の可能性が高い」と話した。
「つばさ」には、客36人と乗員4人が乗っていた。新潟港を18日午後4時20分に出発し、同5時27分に両津港に着く予定だったが、同5時ごろ、佐渡島の姫埼灯台から東に10キロの洋上で航行不能に。佐渡汽船のカーフェリーで引航を試みたがロープが切れて失敗。その後、新潟海上保安部の巡視船が同9時半ごろから引航するなどし、19日午前2時11分に両津港に着いた。
到着後の船体点検で肉片が見つかり、除去。同社は航行可能と判断し、19日午前に「つばさ」を定期運航に復帰させた。同社は「ご利用のお客様及び関係者の皆様にはご心配とご迷惑をおかけいたしまして、誠に申し訳ございませんでした」と文書で謝罪した。
9管は、トラブルにつながるような異状が船になかったか調べる方針。(谷瞳児、高橋俊成)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル