船上で会ったのはビールを飲むムスリム 運命を感じた私が目指す共生

 2001年9月11日朝。米国の世界貿易センタービルに、航空機2機が相次いで突っ込んだ。

 米同時多発テロ

 「なんでこんなことが起こるのか」

 大阪外国語大学の1年生だった桂悠介さん(40)は、映画のワンシーンのようなその映像をテレビで見ていた。

 大学ではフランス語を専攻し、国際関係を学んでいた。でも、「国と国との関係だけでは解決しない、全く説明のつかないことだ」と思った。

 思い返せば、これがイスラム教を考えるきっかけだった。でも、あのころ自分がムスリムになるとは想像もしていなかった。

 大学を卒業して、一度は大阪の企業に就職した。その後、福岡に移り住み、農業を始めた。

 ある日、福岡から実家のある大阪へ向かう船上のことだった。

 西アフリカのセネガルから来た音楽家の男性と出会った。

 世界三大宗教の一つ、イスラム教。世界の人口の4分の1はムスリム(イスラム教徒)と言われています。日本でも年々増え、研究者は「婚姻に伴うもののほか、自ら入信する日本人も増加しているようだ」と話します。日本で生まれ育ち、ムスリムとして生きることを選んだ日本人を取材しました。

 フランス語で語り合い、一緒にビールを飲んだ。潮風を浴びながら、その男性はアラビア語の歌を口ずさんでいた。

 歌詞は「アラーのほかに神なし」という一節だろうか。不思議なそのメロディーに心がひかれるのを感じた。

 イスラム教ではアルコールは…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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