日本海の冬の味覚、ズワイガニの水揚げで、兵庫県新温泉町の浜坂漁協は全国屈指の多さを誇る。
インドネシア出身のウギア・レストゥ・ギナンジャルさん(30)は11年前、技能実習生として町に来た。400世帯余りが暮らす小さな漁村に暮らし、船に乗った。
最初の年は日本語が分からず、いてつくような冬の海での作業も、とにかくつらかった。
花火大会の後の砂浜を歩いて
2年が経った夏、競り場の2階にある実習生の寮に、若い日本人船員に連れられて浜根綾華さん(32)が、ふと遊びに来た。同僚実習生の船主の娘だ。
綾華さんは海外に興味があり、当時は韓国ドラマにはまっていた。毎年来るインドネシア人実習生も気にかけていた。
綾華さんは母を亡くし、幼い妹たちの世話や家事に追われる日々だった。そんな綾華さんにとって、同世代のインドネシア人たちと話す時間は「いい息抜き」で、楽しかった。
韓流アイドルのような雰囲気のウギアさんはシャイでおとなしかった。でもお互いに意識していた。
数日後、夏祭りの盛り上がりも手伝って、LINEの連絡先を交換した。その6日後、花火大会が終わった砂浜をふたりで歩き、交際が始まった。
ふたりは約束した。「誰にも言わないでおこう」
実習生は3年間で帰国する…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル