佐賀県鳥栖市の住宅で夫婦が殺害された事件で殺人罪に問われ、佐賀地裁の裁判員裁判で懲役24年の判決を受けた元九州大生の長男(19)は、小学生のころから教育を巡り、叱責(しっせき)や暴力といった「教育虐待」を受け続け、復讐(ふくしゅう)心から殺意を抱くようになったことが公判で明らかになった。虐待の背景には何があるのか、教育虐待という言葉を学会で初めて発表した一般社団法人ジェイス代表理事で臨床心理士の武田信子さん(61)に聞いた。
――「教育虐待」とは。
「親による『子どもの心身が耐えられる限界を超えた教育の強制』を特に狭義の教育虐待と呼び、教育ネグレクトと合わせて、広義の教育虐待と呼びます。教育を名目に、子どもが耐えられない傷を心身に与える、親によるひどい扱いのことです。今回の事件は、子どもが追い詰められて心身ともに限度を超えてしまい、自分がやられるか相手をやるか、どちらかになってしまった。教育虐待と言えます」
――教育虐待はなぜ起きるのでしょうか。
「価値観と将来への不安が背…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル