俳聖・松尾芭蕉、伊賀流忍者、ゆかりの藤堂藩などの関連史料をデジタルデータ化し、三重県伊賀市がネット上で公開している。名付けて「デジタルミュージアム 秘蔵の国 伊賀」。いつでも、どこでも、だれでも、無料で伊賀の歴史、文化にアクセスできるとあって好評だ。
デジタルミュージアムは昨秋から先行公開した「芭蕉と俳諧の世界」に加え、1月に公開した「伊賀流忍者」「郷土資料」、来年1月公開の「伊賀市の文化財」「歴史探訪」の五つのテーマで構成する。
現時点で閲覧できる史料は約90点。「芭蕉と俳諧の世界」では「更科紀行 芭蕉自筆稿本」(国重要文化財)や、「芭蕉筆『木のもとに』発句短冊」、「九浦画芭蕉翁像」などを公開。また、「伊賀流忍者」では三大忍書とされる「萬川集海」「正忍記」「忍秘伝」などを収録し、関連画像も閲覧できる。
「郷土資料」では藤堂高虎を初代とする藤堂藩の藩政関係史料「永保記事略」などを載せた。墨の濃淡や紙の継ぎ目もわかる精緻(せいち)な画像を閲覧でき、拡大、縮小もパソコン画面上で操作できる。また、翻刻も読むことができる。
これらの史料群は、市や伊賀上野観光協会などが所蔵。しかし、公開場所が限られ、劣化防止を理由に自由には閲覧できない。このため、デジタルアーカイブシステム「ADEAC」を運用するTRC―ADEAC(東京)と提携。昨年6月から、史料のデジタル化を進めてきた。
アクセス数は1月だけで2万件を突破。市の担当者は「子どもたちを含む多くの人に伊賀の歴史文化を再認識して欲しい。伊賀をもっと好きになってもらうきっかけになれば」と期待している。
「デジタルミュージアム 秘蔵の国 伊賀」は検索サイトで、「アデアック 伊賀」と検索。伊賀市のホームページからもアクセスできる。(藤井匠)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル