東西演芸界のホープと目される大阪出身の芸人兄弟がいる。上方落語の桂華紋(かもん)(32)と東京の漫才協会に所属する漫才コンビ「おせつときょうた」のおせつ(35)だ。近年、それぞれ新人賞を受賞。新型コロナウイルスで舞台を失い苦境に立つが、ともにめげずに前を向いている。
「似てないですねって、めちゃくちゃ言われますよ」。大阪市東淀川区のサラリーマン家庭に生まれた長男と次男。てっきり親も大のお笑い好きと思いきや、ダウンタウンやとんねるずの番組は「教育に悪い」と見せてもらえなかったと振り返る。子どものころは「兄弟で、お笑いの話をしたこともなかった」。それが、近畿大に進学した兄のおせつが「落語はほとんど見たことないけど、先輩が面白くて楽しそう」と落語講談研究会に入る。就職するつもりだったが、学生のお笑いライブにピン芸で参加し、東京の芸能事務所に声をかけられて東京に出た。
「まさか。会社員になるもんやと思ってたんで」。当時、弟の華紋は関西学院大の甲山落語研究会に所属。4年生の時に噺家(はなしか)になろうと思い立ち、卒業直後に上方落語の桂文華に弟子入りした。「兄貴の影響はありません。ただ、兄貴の時は親父(おやじ)がめちゃくちゃ反対してたと思うけど、僕の時はそれはなかった」
拡大するおせつ(左)ときょうた=2020年2月、大阪市北区
おせつはピン芸人を経て、16年に大阪府枚方市出身のきょうた(33)とコンビを組む。3年後にナイツらも受賞歴のある東京の漫才新人大賞で大賞を受賞した。「うちの家族や親戚の喜びようといったら。兄貴が東京で芸人になってどう生活しているかもわからなかったので」。そう振り返る華紋は、東西の噺家121人が参加したNHK新人落語大賞で頂点に立つ大賞に輝いた。
実は、芸人になってからの方が…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル