大雨洪水警報が出た夜に用水路で動けなくなっていた90代の女性を助け出したとして、香川県警丸亀署は29日、香川県丸亀市の短期大学生、吉田衣吹さん(20)と専門学校生の戸羽悠哉さん(21)に感謝状を贈った。2人の行動がなければ命に関わる危険性があったという。
豪雨がやんだ夜だった。9月2日午前1時ごろ、コンビニからの帰り道に車を運転していた吉田さんは、道路脇の用水路に人影を見つけた。
「人おらん?」「1回、回る?」。同乗していた戸羽さんに声をかけ、来た道を引き返すことにした。
車から降りて確認すると、高齢の女性が用水路(深さ約1・1メートル)に入ったまま、動けなくなっていた。
足元に大量の水が
「おばあちゃん、なんでここおるん? なんしよん」。吉田さんの呼びかけに女性は「わからん」。その夜、一帯には大雨洪水警報が発令されており、女性の足元には大量の水が流れていた。
吉田さんは靴のまま用水路に降りて女性を支え、戸羽さんは上から女性の手を引っ張り、2人で道路に上げようと試みた。しかし、すね辺りまである水と、用水路に生えた藻で足が滑り、うまくいかない。
女性は「寒い、寒い」と繰り返した。吉田さんは車にあったブランケットを女性の肩にかけ、体をさすりながら「あと少しで助けが来るよ」と20分ほど声をかけ続けた。その後駆けつけた警察と消防により、女性は用水路から引き上げられた。軽傷を負ったものの命に別条はなかったという。
助けるのが当たり前
署であった感謝状の贈呈式で竹田長信署長は「2人の連携と温かい行動に感銘を受けた」。吉田さんは「人は助けるのが当たり前、と親に教わってきた」、戸羽さんも「助けられてうれしい」と話した。
署によると、女性はその夜、高齢者施設から迷いだし、職員が探していたという。
救出劇から数日後、2人は施設に招待され、新しいブランケットを贈られた。窓越しに再会した女性は、2人に満面の笑みで手を振っていたという。(堅島敢太郎)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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