若きテニス界のスター、大坂なおみはいかにして »世界で最も稼いだ女性アスリート »になったのか(BUSINESS INSIDER JAPAN)

大坂なおみは、世界で最も稼いだ女性アスリートだ。

22歳のテニス界のスターは2019年、3740万ドル(約40億3400万円)を稼いだ。これはいくつかの記録を破る功績だ ── セリーナ・ウィリアムズはこれまで4年連続で »世界で最も稼いだ女性アスリート »だったし、マリア・シャラポワは »1年間で最も稼いだ女性アスリート »のタイトルを保持していた。

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大坂なおみは、突然現れたかのように見える。16歳でプロのテニス選手となった彼女は、主に父親からボールの打ち方を教わり、ジュニアの大会を回避してきた。

プロのテニスコーチと仕事をするようになったのは18歳の頃だ。それから2年もしないうちに、大坂はお手本としてきたと言われるセリーナ・ウィリアムズを全米オープンで破るなどグランドスラムを2大会連続で制覇し、ついに世界の注目の的となった。

日本代表として東京オリンピック出場を目指す大坂は現在、数々の企業とスポンサー契約を結んでいる。

Business Insiderは大坂の担当者にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

大坂なおみはいかにして世界で最も稼いだ女性アスリートになったのか、見ていこう。

(敬称略)

大坂なおみは2019年、3740万ドル(約40億3400万円)を稼いで »世界で最も稼いだ女性アスリート »になった。彼女はまだ22歳だ。

これは « 1年間で最も稼いだ女性アスリート » の記録を破る金額でもある。フォーブスによると、史上最高額のタイトルはこれまで2015年に2970万ドルを稼いだマリア・シャラポワが持っていた。

大坂の年収は、セリーナ・ウィリアムズの »世界で最も稼いだ女性アスリート »の連覇も終わらせた。ウィリアムズは4年連続でこのタイトルを獲得していた(フォーブスによると、大坂は2019年、ウィリアムズより140万ドル多く稼いだという)。世界で最も稼いだアスリート・ランキング トップ100では、大坂が29位、ウィリアムズが33位だった。

大坂は2019年のランキングでは、トップ100に入っていなかった。

日本人の母とハイチ系アメリカ人の父を持つ大坂は、大阪で生まれたが、3歳の時に渡米。初めのうちは大きな注目を浴びることはなかった。

大坂とその家族は当初、ニューヨーク州ロングアイランドに住んでいたが、その後、若いテニス選手が集まるフロリダ州に引っ越した。大坂には1歳半年上の姉(大坂まり)が1人いて、姉もプロのテニス選手だ。

アメリカと日本の2つの国籍を持っていた大坂は、全米テニス協会ではなく日本テニス協会に登録している。

「幼い頃に、わたしたちはなおみを日本代表にと決めたんです」と大坂の両親はウォール・ストリート・ジャーナルに語っている。「なおみと姉のまりは常に日本人だと感じていたので、わたしたちの理由はそれだけです。金銭的な動機は一切ありませんでしたし、どこかの協会に影響を受けたこともありません」

大坂は、ジュニアのトーナメントではなく、あまりテレビで放送されない小さな国際テニス連盟の大会でプレーすることを好んだ。出場資格を得るのに十分なほどランキングが上がっても、彼女はジュニアのグランドスラム・トーナメントには参戦しなかったと、同紙は報じている。

タイム誌のシニアライター、ショーン・グレゴリー(Sean Gregory)は、ジュニアのサーキットを「多くの有望な10代の選手を燃え尽きさせる過酷な環境だ」と書いている。

16歳までにプロに転向した大坂に全米テニス協会は声をかけたが、彼女はハロルド・ソロモン・テニスアカデミーやプロワールドテニスアカデミーで父親とともにトレーニングを積んだ。

大坂姉妹はテニスを主に父親のレオナルド・フランソワから教わった。

テニスが好きだった父の娘たちにかける夢は、テレビでプレーをするビーナス・ウィリアムズ、セリーナ・ウィリアムズ姉妹を見た時に始まったと、タイム誌は書いている。彼はウィリアムズ姉妹を娘たちの手本とし、ウィリアムズ姉妹の父が取ったコーチング・アプローチを真似た。

大坂姉妹はオンラインで自宅学習を受け、テニスの練習により多くの時間を捧げた。

18歳で大坂はさらにステップアップした。エバートテニスアカデミーで練習し始め、初めてプロのコーチが付いた。

大坂と彼女の父親はエバートテニスアカデミーで1日2時間練習をするという。「彼女は才能にあふれ、たくさんボールを打っていた。でも、動いていなかったし、ミスが多かった」と元プロ選手でアカデミーの共同創設者でもあるクリス・エバートはウォール・ストリート・ジャーナルに語っている。

だが、2人のプロのコーチ ── デービッド・テイラーと、セリーナ・ウィリアムズのヒッティング・パートナーだったサーシャ・バイン ── とトレーニングを始めてから大坂のプレーは急速に向上した。

2016年には、女子テニス協会の「Newcomer of the year(最優秀新人賞)」を受賞。18歳の大坂にとって、大きな1年だった。

大坂にとってグランドスラム初出場となった2016年1月の全豪オープンでは3回戦に進出。全仏オープンと全米オープンでもそれぞれ3回戦まで進んだ。

この年、大坂は東京で開催された東レ パン・パシフィックオープンで日本人選手として初めて決勝に進出した。

2年後の2018年3月、大坂は日本人女性として初めてアメリカのカリフォルニア州で開催されたインディアンウェルズ・マスターズで優勝した。

Source:
Naomi Osaka Profile

大坂は20歳でグランドスラムを2大会連続で制覇した ── 2018年の全米オープンと2019年の全豪オープンだ。

2018年の全米オープン ── セリーナ・ウィリアムズとの決勝戦は大きな話題となった ── で初優勝した大坂は一躍セレブとなった。ウィリアムズが主審の判定を非難し、ゲームペナルティーを科され、ラケットを叩きつけたこの試合は、Shapeのマカエラ・マッケンジー(Macaela Mackenzie)が言うように、ドラマチックな試合だった。ウィリアムズは最終的に、大坂の勝利を称えるようファンに言わなければならなかった。

大坂は、アジア人プレーヤーとして初めてシングルスのランキングで1位になった。

Source:

WTA Tennis

2019年、大坂は東京オリンピックの日本代表になるために、アメリカの市民権を放棄した。

日本の国籍法では、二重国籍の場合、22歳になるまでにいずれか1つの国籍を選択しなければならないと、ワシントン・ポストは書いている。

「日本代表としてオリンピックを目指すのは、特別な気持ちです」と大坂はNHKに語った。「この国の誇りとともにプレーすることはわたしをより感情的にするだろうと思います」

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を受け、東京オリンピックが1年延長となったことについても、大坂は前向きだ。ESPNによると、「スポーツはわたしたちのために常にそこにあり、わたしたちを再び団結させるでしょう。でも、今はその時ではありません」とインスタグラムに書いた(その後、投稿は削除された)。

大坂はすでに多くの企業とスポンサー契約を結んでいるが、オリンピックを目指すという決断によって、大会のスポンサー企業を中心にさらに人気が高まった。これが2019年の収入に大きく影響した。

フォーブスによると、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、全日本空輸(ANA)、日清食品はいずれもオリンピック向けのマーケティングに大坂を起用するため、スポンサー契約を結んでいる。

「オリンピックのような国際的なスポーツ大会では、彼女こそマーケティングに使いたい国際的なスターだ」とスポーツ・マーケターのベテラン、ボブ・ドーフマン(Bob Dorfman)は2019年、タイム誌に語った。「彼女はアメリカ人にも、カリブ人にも、日本人にもアピールできる。世界中のさまざまな人々が交流し続ける中、彼女はより一層望ましい存在だ」

フォーブスによると、大坂が以前、契約していたアディダスとの競争の末、ナイキは2019年、大坂に1000万ドル以上を払って、2025年までの契約を結んだという。スポンサー契約について、ナイキも大坂の代理人もその詳細を認めていない。

ナイキは第4四半期に大坂のストリートウェア・ラインを立ち上げる計画で、大坂に関しては、試合中はナイキのウェアのみを着用するという条件を外している。

大坂は現在、15社とスポンサー契約を結んでいるが、そのほぼ全ては年間数百万ドル相当の契約だ。

これらの契約金で大坂は2019年、スポーツドリンクの「BodyArmor」やスポーツ・リカバリー・テックの「Hyperice」といった複数の新興企業と提携し、株を取得した。

「若いビジネスが成長するのを目にし、その過程に付加価値を与えることに関心があるんです」と大坂は2019年、フォーブスに語った。「チームには、わたしの個性や関心に合うブランドを探すよう頼んでいます」

人々は、大坂を次のセリーナ・ウィリアムズとして称賛している。

「彼女はセリーナ以来、最高の女性テニスプレーヤーだとわたしは感じています」と、若き日のウィリアムズ姉妹を指導したインストラクターのリック・マッキ(Rick Macci)はウォール・ストリート・ジャーナルに語っている。

大坂のサーブは時速125マイル(約201キロメートル)と速く、セリーナ・ウィリアムズの時速128マイルよりわずかに遅いだけだ。

ウィリアムズは大坂のお手本だと言われているが、大坂は自身を »次のセリーナ »とは考えていない。「セリーナ・ウィリアムズがもう1人現れることなどないと思っています」と大坂はタイム誌に語った。「わたしはわたしになると思っています。皆もそれでOKだといいんですが」

[原文:22-year-old tennis star Naomi Osaka made $37 million last year, surpassing Serena Williams as the highest-paid female athlete. Here’s how she did it.]

(翻訳、編集:山口佳美)

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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