【モスクワ=力武崇樹】ロシアを訪問中の茂木敏充外相は19日(日本時間同午後)、モスクワでラブロフ露外相と会談し、日本漁船5隻が露国境警備局によって国後(くなしり)島の古釜布(ふるかまっぷ)に連行されたことに抗議した上で、速やかな帰港を求めた。平和条約締結の前提となる北方領土問題では双方の主張の隔たりは埋まらず、協議項目を整理し、議論を継続することで一致した。
茂木氏は会談後の共同記者発表で「平和条約締結交渉を進めるための自分の考えを具体的に伝えた」と述べた。ラブロフ氏は「課題は決して簡単なものではない。(われわれは)長期的で地道な作業を行う用意がある」と強調し、交渉の長期化を示唆した。
ラブロフ氏は条約締結に向け「経済、投資、安全保障、人道などの分野での露日関係を包括的に発展させていくべきだ」とも述べ、「領土問題を解決して平和条約を締結」とする日本側と異なる立場を示した。漁業者に日露間の協定を順守させることも要請した。
両氏は、秋に北方四島で初めて試行した共同経済活動の観光ツアーに関し、来年の本格事業化に向け局長級の作業部会を来月中に開催することで合意した。茂木氏は元島民への人道的措置として航空機を使った墓参の継続を重ねて求めた。
次回外相会談は、来年2月にドイツで開かれるミュンヘン安全保障会議に合わせた開催を調整することで一致。首脳会談は外交ルートを通じて再調整する。
ラブロフ氏は、両国が12月末にソマリア沖アデン湾で海賊対策の合同演習を行うと明らかにした。
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