林瞬
茨城県常総市で2015年に鬼怒川が氾濫(はんらん)し、市内の3分の1が浸水して15人(災害関連死を含む)が死亡した水害をめぐり、河川管理に問題があったとして、住民らが国に約3億6千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、水戸地裁であった。阿部雅彦裁判長は国の責任を認め、計約4千万円の支払いを命じた。
15年9月10日の「関東・東北豪雨」では、常総市内で鬼怒川の堤防が決壊し、市内の3分の1が浸水した。13人の災害関連死を含めて15人が亡くなり、53軒の家屋が全壊、1591軒が大規模半壊した。
原告側は、堤防がなかった同市若宮戸地区について、14年3月ごろから砂丘をソーラー発電事業者が掘削し、地盤が低くなった場所から水があふれたという経緯を問題視。国は砂丘の場所を「河川区域」に指定して開発を制限しておくべきだったのに怠ったと主張した。
堤防が決壊した上三坂地区をめぐっては、他の流域と比べても堤防が低い状態にあり、国は優先的にかさ上げすべきだったのに放置したと訴えていた。
国は、若宮戸地区で掘削された砂丘には、もともと堤防としての役割はなく、河川区域として指定しなかったことが過失とは言えないと反論した。
上三坂地区については、堤防整備は過去の災害や川の上下流のバランスなど、多様な観点から検討して優先順位をつけるとし、原告の主張は「堤防の高さのみをことさら重視するもの」と指摘していた。(林瞬)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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