菅義偉首相は15日、東京・日本武道館であった全国戦没者追悼式に参列し、式辞を述べた。式辞では、安倍晋三前首相が昨年初めて用いた「積極的平和主義」の文言を使用する一方、戦争の「教訓」や近隣諸国への加害責任には今年も触れなかった。式辞の大半は前年と似通っており、「独自色」が見えにくい内容となった。
首相就任後、同追悼式への参列は初めて。天皇陛下の「おことば」に先立ち、首相が式辞を述べた。首相は戦没者への追悼などに触れた後、「我が国は、積極的平和主義の旗の下、国際社会と力を合わせながら、世界が直面する様々な課題の解決に、全力で取り組んでまいります」と語った。
「積極的平和主義」は2013年秋、安倍前首相が集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更に意欲を示し、国家安全保障戦略(NSS)を議論した有識者会議の中で浮上した用語。安倍前首相は、外交や安全保障戦略を語る際に用いてきており、菅首相は「安倍カラー」の言葉を継承した形だ。
一方、昨年の式辞では「歴史」の文言が消えたことが注目された。今年は「平和と繁栄は、戦没者の皆様の尊い命と、苦難の歴史の上に築かれたもの」という一文で「歴史」が復活した。
近隣諸国への加害責任は第2次安倍政権に続いて言及がなかった。
1993年に細川護熙元首相…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル