菅義偉首相が開いた番記者との懇談会について、朝日新聞や東京新聞などが参加を断ったことで、取材のあり方を巡ってインターネットで議論になっている。 パンケーキと言えば、菅氏の大好物だ。自民党の総裁選でも、各候補の好物が話題になり、菅氏が総理になれば、忙しくて店に行けなくなるのではと心配する声すらあった。 ■朝日「懇談ではなく記者会見などできちんと説明して」 そんな中で、菅氏は、パンケーキが政権のイメージ戦略に役立つと着目したのかもしれない。内閣記者会に所属する記者を集めて、2020年10月3日朝に開いた懇談会の会場がパンケーキで有名な店だった。 時事通信の首相動静によると、菅氏は、東京・神宮前のレストラン「Eggs’n Things原宿店」で約1時間半にわたって、番記者と食事を取りながら懇談した。メディアの報道などでは、数十人が参加してオフレコで行われたという。10月10日にも、2回目の懇談会が開かれる予定で、内閣記者会の全員が参加できるようにした異例の形だそうだ。 ところが、この懇談会に、マスコミ数社が欠席したと伝えられている。 そのことを発表した社もあり、朝日新聞社は3日、記者が欠席したことをウェブ版記事で明かし、その理由をこう書いた。 「首相は日本学術会議の新会員に6人を任命しなかった問題をめぐり『法に基づいて適切に対応した結果です』と記者団に答えるにとどめています。朝日新聞は、首相側に懇談ではなく記者会見などできちんと説明してほしいと求めています。首相側の対応が十分ではないと判断しました」 また、東京新聞も同日、記者の欠席を認め、次のように説明した。
「自ら情報ソースを減らすだけ」冷ややかな声も
「東京新聞は、首相が懇談ではなく、9月16日以降開いていない記者会見を開き、日本学術会議の会員任命拒否など内外の問題について、国民に十分説明することが必要という考えです。臨時国会の早期召集も求めています。このため懇談には出席しない判断をしました」 菅首相と番記者との懇談会については、野党からも疑問の声が出ている。 立憲民主党の蓮舫参院議員は、ツイッターで「完全オフレコ=取材内容を公表しない 日本学術会議人事を問わなければならない今、完オフ懇ではなく正面から取材するのが報道機関の役割」と述べ、懸念を示した。 また、共産党の志位和夫委員長も、「日本学術会議への人事介入が大問題になるなか、公の会見での説明を一切行わないまま、首相番記者とのオフレコ朝食懇談会に90分。首相がなすべきは、記者会見・国会質疑で、学術会議からの要望への回答を含めて、国民にきちんと説明することだ」とツイッターで菅氏を批判した。 ツイッターやネット掲示板でも、懇談会は話題になっており、様々な意見が出ている。 批判的な声としては、「記者会見を制限しながら裏で懐柔」「既得権益化してるってことでしょう」といった声が上がった。マスコミに対しては、「権力者ではなく国民に向くべきだ」との指摘が出たほか、欠席した社には「ジャーナリズムを重んじた姿勢は素晴らしい」との声もあった。 一方で、「参加も不参加も自由だと思います」「取り込まれなければ良いだけ」との意見も出たほか、欠席することを疑問視する向きも多かった。「参加すれば質問する機会もあっただろうに」「自ら情報ソースを減らすだけにしか思えない」などと書き込まれていた。 (J-CASTニュース編集部 野口博之)
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