「表現の自由」と「著作権の保護」はどうあるべきなのか。去年、大きな話題を呼んだ著作権法の改正案をめぐり、インターネット業界から緊急声明が出され新たな議論を呼んでいる。
3月10日に閣議決定された著作権法改正案。これまで違法ダウンロードの対象は映像や音楽とされてきたが、改正案では漫画や雑誌、スクリーンショットといった静止画など全ての著作物の無断ダウンロードも対象とする。
そもそもこの法案が動き出したのは去年2月、人気漫画を無断で掲載していた海賊版サイト「漫画村」事件をきっかけに議論が広がったことだ。ところが、規制で権利が守られる側の漫画家などから「規制範囲が広く表現行為を萎縮させるのでは?」といった反対の声が相次ぎ、去年の法案は見送りに。再び議論を行い、スクリーンショットの映り込みや軽微なもの、二次創作などは違法化の対象から除外する修正をし、今国会に提出された。
そんな中、インターネットユーザー協会(MIAU)は25日、「国民の情報の活用に負担を追加する内容であることは間違いない」などとする緊急声明を発表した。その理由について、ABEMA『けやきヒルズ』では同協会の香月啓佑事務局長に話を聞いた。
「私たちは海賊版に対して賛成しているわけではない」と前置きした上で、改正案について「軽微な複製を対象から除外するなどの手当てが一定程度整備されたのは評価できるが、根本的な問題は一切解決されていない」と指摘する香月氏。
そこには利用者視点での基準の曖昧さがあるといい、「『利益を不当に害しない』というところを利用者が立証する必要があるが、普段インターネット見ていて『これは不当に害しない』と利用者の一人ひとりが判断できるかは難しいと思う」との見方を示す。
例えば、利用者が利害の基準に迷った場合、「とりあえずやめておこう」と判断することは考えられるが、そうした抑制が国民にとってマイナスに働くのか。香月氏は「普段インターネットを見ていて、『これは役に立ちそう』とスクリーンショットを手軽に撮ることはあると思う。それが著作者の利益を不当に害していないとどう判断するのか。僕も著作権を勉強しているが、それでも判断できるか考えてしまう」と判断の難しさが利用者の負担となることを懸念した。
では、改正案について“権利が守られる側”はどのように捉えているのか。『ラブひな』などが代表作の漫画家で日本漫画家協会常任理事の赤松健氏は次のように述べる。
「去年はスクショのへの映り込みも規制の対象にするとしていたが、最新の改正案ではそのあたりが払拭されているので、個人的にはかなり評価している。自分の単行本なんかも発売日の翌日には海賊版サイトで読めるようになっていて、これは痛い。最近は正規版を買わなくても済むくらい画質も良くなっていて、特に新人で電子版しか単行本が出ない場合への悪影響は絶大」
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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