江戸時代後期の浮世絵師・葛飾北斎(1760~1849)が描いたとみられる肉筆の肖像画が、見つかった。描かれているのは両替商の男性とみられるが、人物は特定されていない。所蔵する長野県小布施町の北斎館で、この男性が誰なのか、探っている。
肖像画は、昨年末に群馬県の所有者から同館に寄贈された。同館館長の美術史家・安村敏信さんは、輪郭線の強さや手足の描き方、陰影の付け方といった画風に加え、落款や印から北斎の作品と判断した。画中に「享和三亥(い)年」(1803年)の文字があり、北斎40代前半の作とみられている。汚れやしわが目立っていたが、修復した。
奈良市の美術館・大和文華館館長で浮世絵に詳しい浅野秀剛さんによれば、北斎の肉筆の肖像画は数点しか伝わっていない。写真でこの作品を見た浅野さんは「他の北斎の肖像画に比べ、素直に描かれている。比較的早い時期に描かれ、まだ個性が際だっていないのだろうが、そこも含め興味深い」と話す。
安村さんは、描かれた男性がそ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル