北海道蘭越町で三井石油開発(本社・東京都千代田区)が実施している地熱発電の調査のための掘削現場で、6月29日に大量の蒸気などが噴出した。7月7日現在も蒸気噴出は続いている。当初は「人的被害なし」としていたが、硫化水素中毒で一時入院する人的被害が出ていた。また、6日になって噴出場所付近の水たまりから非常に高濃度のヒ素が検出されたと発表されるなど、同社の情報開示の遅れが目立っている。
蒸気などが噴出したのは、三井石油開発が2016年度から独立行政法人・エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の「地熱発電の資源量調査事業」の助成金を受けて事業を行っている蘭越町湯里地区の掘削現場。これまでに5本の「坑井(こうせい)」と呼ばれる井戸を掘ってきており、今年度は6本目の井戸(予定では地下3千メートル)の掘削作業を6月25日に始めた。ところが、同29日午前11時半ごろ、掘削が地下200メートル付近まで達したところで蒸気や石英を主体とする噴出物が地上に噴き出した。付近を流れる川では噴出物によるとみられる白濁が確認された。
同社は事故原因について調査中としつつ、当初の計画では地下700メートル付近にガスなどが地上に噴き出るのを防ぐための装置を設置することになっていたが、今回はそれよりも地中の浅い場所に到達した段階で噴出が起きた、と説明している。
今回の噴出では、三井石油開発の情報開示の遅れが目立ち、周辺住民の不信感が高まっている。
事故発生当日6月29日に同社は「人的被害はございません」と発表。翌30日には「噴出ガスが確認されているが周辺大気中での濃度は健康を害するレベルではないことを確認」とした上で「人的被害なし」との情報を公表した。
ところが、噴出事故時に現場に弁当を配送した人が硫化水素中毒で体調を崩して30日まで入院していたことを、7月4日になって住民説明会などで公表した。
6日には、追加でもう1人が蘭越町に対して体調不良を訴えていることを公表した。さらに3日と5日に噴出場所のそばの水たまりの水から非常に高濃度(1リットル当たり11ミリグラムと同15・9ミリグラム)のヒ素を検出し、ヒ素が蒸気にも含まれている可能性があることを明らかにした。
ただ、同社は、一貫して「(…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル