藤井二冠、ドラマ呼んだ秒読みの「中合い」と人間的感情

杉本昌隆八段の棋道愛楽

 将棋の勝ちは自分でつかみ取るもの。「迷ったら前に出る(攻める)」のは、一流棋士ほど顕著な傾向です。

 逆に相手の読み筋、攻撃をそのまま受け入れてしまう展開は、特に時間が切迫している秒読みでは選びにくい。ずっと「相手のターン」になり、自分の力で勝負ができないから。時間が切迫している秒読みだとなおさらでしょう。しかしそんな人間的感情が、ときに大きな逆転劇を生むことがあります。

 藤井聡太二冠の優勝で幕を閉じた今年の朝日杯準決勝、決勝戦。私は解説役として現場にいましたが、人間同士の戦いの面白さ、奥深さを感じずにはおられませんでした。

 2月11日に行われた午前の部の準決勝、渡辺明名人対藤井二冠戦。激しい攻防も終盤で渡辺名人がリードを奪います。

 しかし秒読みのさなか、王手を…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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