7月18日、第69期大阪王将杯王将戦二次予選1回戦の佐藤康光九段―藤井聡太七段戦が行われ、藤井七段が勝利を収めました。
二転三転の大熱戦制す
本棋戦はまずシード棋士以外の全棋士が参加する一次予選が行われ、通過者は二次予選に進みます。前期リーグ陥落者、順位戦A級の棋士、タイトル保持者などは二次予選から登場し、一次予選通過者とともに3つの挑戦者決定リーグ戦の出場枠を争います。リーグは7人の総当たり戦で行われ、優勝者が挑戦権を獲得。2位から4位までは残留し、来期リーグにも予選なしで参加が決まります。5位から7位まではリーグ陥落、来期は二次予選からの出直しとなります。
19日の対局は先手の藤井七段が、現在プロ間で最も指されていて自身の得意戦法でもある「角換わり」の戦型を目指しました。独創的な序盤戦術で知られる佐藤九段は角道を止めてこれを拒否し、定跡形ではない「相居飛車力戦」へと進みました。序盤早々に藤井七段が桂を取らせる代わりに相手を歩切れ(※手駒に歩がない状態)にさせ、自身は3枚の歩を持つ順を選び、飛筋からの敵陣突破を目指します。佐藤九段は得をした桂を自陣に打って攻めを受け止め、その後は激しいやり取りがあった割にはゆっくりした流れの将棋になりました。
熱のこもった中盤戦を経て局面は終盤戦に突入。守り駒の少ない佐藤玉に藤井七段の攻め駒が襲いかかります。もはやこれまでと思いきや、そこは百戦錬磨の佐藤九段。巧みな手順でぎりぎりしのぎ、藤井七段の攻めをひと息つかせることに成功しました。ついに攻めの手番が回ってきた佐藤九段でしたが、藤井玉の頭にプレッシャーを掛け、受けを強要する手筋の「垂れ歩」が痛恨の緩手。代えて、受けに参加し自陣に戻っていた龍(※成った飛)を再び敵陣に進めれば勝ち筋でした。九死に一生を得た藤井七段は垂れ歩からの攻めを頓挫させると再び佐藤玉に向い、最後は長手数の即詰みで勝利をつかみました。総手数141手。形勢が二転三転するスリリングな大熱戦でした。
藤井七段の次戦の相手は、タイトル獲得経験のある中村太地七段。公式戦では初手合、2017年にAbemaTVで放映された企画対局「藤井聡太炎の七番勝負」第4局では藤井七段が勝利を収めています。リーグ入りが見えてきた藤井七段。もしタイトル挑戦~獲得となれば最年少タイトルの記録となりますが、果たして?
将棋情報局
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース