将棋の第70期王将戦挑戦者決定リーグは29日、東京都渋谷区の将棋会館で指され、後手の高校生タイトルホルダー、藤井聡太二冠(18)=棋聖・王位=は、佐藤天彦九段(32)を118手で下し、今リーグ初勝利。通算成績を1勝3敗とした。羽生善治九段(50)は広瀬章人八段(33)を83手で破り、無敗の3連勝でリーグ首位に並んだ。 光がみえてきた。最終盤の118手目で追い詰めた佐藤九段が「負けました」と頭を下げると、藤井二冠は深いお辞儀で返した。 「中盤以降うまく動かれてしまって、自信のない展開が長かった」 藤井二冠がそう振り返った対局は序盤、居飛車党の佐藤九段が用意していた秘策、振り飛車の一つ「中飛車」でいきなり変化した。だが「やや意外ではありましたが、対局中に意表をつかれたままではいけない」と冷静に急戦で対抗した。中盤以降も互角の激戦が続いたが、最終盤に飛車成りに成功して優位に立ち、元名人を投了に追い込んだ。 今夏に最年少で2冠を獲得した。だが、トップ棋士がそろう今リーグでは徹底的に研究され、大苦戦。本局前までに3連敗を喫し、七番勝負進出は果たせず。今年度内の3冠獲得の望みも絶たれたが、残る2局は来期の挑戦者決定リーグ残留をかけた戦いとなる。「成績のことは考えず、残り2局に全力を尽くしたい」。この日の初勝利で勢いを取り戻す。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース