吉村駿
個人事業主を装い、東和銀行(前橋市本町2丁目)から約1千万円の融資金をだまし取った疑いで男2人が群馬県警に逮捕された事件を受け、東和銀は13日、同市内で会見した。逮捕された男1人に、東和銀の融資先から融資金が6億円以上流れていたことを明らかにした。男はこの融資先を銀行側に紹介していたといい、東和銀は「融資の管理体制が十分ではなかった」と説明した。
12日に詐欺容疑で逮捕されていたのは、東京都足立区のアルバイトの男と(59)と群馬県高崎市の会社(39)。
県警によると、会社員の男が個人事業主を装い、虚偽の確定申告書を出して融資金をだまし取っていたという。融資金は会社員の口座に振り込まれた後、ほとんどがアルバイトの男の口座に移っていた。会社員は「金に困っていた」と話しており、県警はアルバイトの男が融資を受けるよう持ちかけたとみている。
東和銀によると、アルバイトの男が当時経営していた高崎市の電気工事会社と2016年から取引があり、その後たびたび顧客を紹介されていた。昨年5月、会社員とは別の人物が東和銀高崎支店に「資金を流用してしまった」と申告したことがきっかけで問題が発覚したという。
東和銀が紹介された取引先を調べたところ、全32の取引先で流用が判明。19年3月~22年5月に融資した9億7600万円のうち、6億7700万円がアルバイトの男が管理している口座などへ移っていたという。
32の融資に関わったのは2人の行員。通常、融資の申し込みがあれば、融資先を訪問し、売り上げなどの経営状況を確認したり、確定申告書など必要書類の原本を確認する必要があるが、2人はそれを怠っていたという。このうち1人は「融資の実績をあげたいという気持ちだった」と話しているという。東和銀は、男らとの共謀や、書類の改ざんは認められなかったと説明している。
東和銀の桜井裕之・代表取締役副頭取は「お客様の状況把握が徹底されていなかった」「取引があったため、信用してしまったのではないか」と説明。現場の担当者任せになっていたことが今回の事案を招いたとし、「担当者や役職者などによる複数の確認を徹底するなどして、再発防止をしていく」と話した。(吉村駿)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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