血を流しても3本指は下ろさない ミャンマーへ思い寄せる一コマ漫画

 国軍のクーデターによって自由な表現を奪われたミャンマーの人々を「一コマ漫画」で支える取り組みが広がっている。日本で唯一、マンガ学部がある京都精華大の教員らが呼びかけ、賛同の輪は国境を超えた。クーデターから1年となる2月、インターネット上で公開される。

 市民に無数の銃口を向ける軍服姿の男。その一つは自分を狙う。

 国軍への抵抗を示す「3本指」を掲げる射撃訓練用の人型の的。

 京都精華大の教員有志らでつくる「自由と平和な表現活動を支援する団体WART(ワート)」に寄せられた一コマ漫画の作品だ。昨年末、「ミャンマーの今を考える」をテーマにネットで公募したところ、これまでに約30点が集まった。

 きっかけは昨年夏、ミャンマー出身で京都精華大国際文化学部特任准教授のナンミャケーカインさん(49)が「クーデターで変わった人生観」の題で講演したことだ。現地で相次ぐ国軍の人権侵害を報告し、民主主義を取り戻すための支援を呼びかけた。

 関心を持った京都精華大マンガ学部ストーリーマンガコースの非常勤講師で、えかき・ものづくり作家のドウノヨシノブさん(47)=兵庫県たつの市=は「漫画で協力することはできませんか」と申し出た。

 ドウノさんは2017年夏に約1カ月、調査のためミャンマーに滞在した。「見知らぬ人たちから信じられないほどの親切を受けた」

 昨年2月のクーデター後もしばらく現地の友人らとSNSでやりとりしていたが、国軍が戒厳令を出し、市民の死者が急増してからは、メッセージが「既読」になっても返信はなくなった。当時現地で知り合ったフリージャーナリストの北角裕樹さんが約1カ月にわたり刑務所で拘束される事件も起きた。「なんでやねんと思いながらも、何もできないもどかしさを募らせていた」とドウノさん。

抑圧下のミャンマーの人々を一コマ漫画で支えよう。その呼びかけは反響を呼びました。賛同の輪は海を越えて大きく広がりました

■一コマ漫画、英国統治時代か…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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