男性から性別を変えた40代女性と、自身の凍結精子を使って生まれた子どもとの親子関係は、法的に認められるか――。この点が争われた訴訟の判決で、東京家裁の小河原寧裁判長は28日、「法律上の親子関係を認めるのは現行の法制度と整合しない」などとし、子どもの認知を求めた請求を棄却した。
同性カップルの婚姻は、法律で認められていない。このため40代女性と子どもは血縁関係がありながら法的な親子関係がなく、出産したパートナーのみ親子関係がある状態だった。
判決によると、40代女性が性別変更前に凍結した精子を使い、パートナーの女性が2018年に長女を出産。40代女性はその後、性同一性障害特例法に基づき性別を男性から女性に変更し、20年には同じく凍結精子を使って次女も生まれた。40代女性は、自身を父とする認知届を自治体側に出したが受理されず、提訴していた。
東京地裁の判決 「父とも母ともならず」 法的な親子でないと判断
この日の判決は、原告の子ども2人と被告の40代女性には血縁上の親子関係があると認めた。しかし法律上の親子関係は血縁関係と同義ではないとし「法制度との整合性を考えて決めざるを得ない」と説明した。
そのうえで、「民法の解釈では出産していない女性と子との母子関係は認められない」と指摘。また、「民法が規定する父は男性を前提としている」として男性から性別変更をした40代女性と子との父子関係も否定し、「父とも母ともならず、法律上の親子関係を認める根拠は見当たらない」と結論づけた。
「子どもを実際に育て生物学的にもつながっているのに、親子と認めてもらえないのは矛盾を感じる。非常に悲しい」
40代女性は親子関係が否定された判決後、落胆した様子で会見に臨んだ。税金面などで不利益がある状況も訴えた。
司法統計によると、2004年の性同一性障害特例法施行から20年までに、1万人以上が戸籍上の性別を変えた。
NPO法人「虹色ダイバーシ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル