街に溶け込み15年 満員電車でスリ被害に遭いかけた捜査員の自戒

 11月下旬、福岡市の繁華街・天神はきらびやかな飾りで彩られていた。平日の昼間。ニットにジーンズ姿の男性が人混みをかき分けてスーパーに入り、買い物カゴを手に総菜や鮮魚コーナーを眺めていた。

 実は、男性は福岡県警捜査3課の倉崎直紀警部補(50)。本当に探しているのはスリ犯だ。

 県内では今年、11月までに220件以上のスリや寝込んだ人を狙った盗みの被害があった。クリスマスや年末年始に向けてにぎわうこの時期は、1年の中でもスリが多い。懐を温かくして年を越したい犯人の思惑を阻止すべく、街に溶け込み、捜査をしているのだ。

 倉崎さんはスリ犯を追い続けて約15年。この4月、県内外の後輩らに技術と経験を伝える警察庁の「広域技能指導官」に指定された。スリ捜査では全国で4人目だ。

 高校卒業後、警察官になった。北九州市の署にいるとき、窃盗犯の捜査に応援で入った。マンションに忍び込んで盗みをする瞬間を確認するため、近くのプレハブ小屋の窓を数センチ開け、ベランダを見張った。

 夜から朝まで3日間張り込ん…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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