新屋絵理、植松敬
静岡県で1966年にみそ製造会社の一家4人が殺害された強盗殺人事件で死刑が確定した袴田巌さん(85)=釈放=の第2次再審請求審の審理が30日、東京高裁であった。弁護側が証拠の捏造(ねつぞう)を疑う衣類の血痕について検察側が提出した意見書に対し、弁護側がさらに説明を求めた。
袴田さんの犯行着衣とされた衣類は逮捕から1年後にみそタンクから見つかり、血痕の赤みが残っていた。しかし、弁護側の実験では血痕はみそに漬けて1カ月で黒褐色に変わり、弁護側は発見直前に別人が投入した捏造証拠だと主張した。最高裁は昨年、血痕が変色する化学反応に絞って審理のやり直しを命じた。
検察側は7月末に意見書を出した際、食品衛生学などの専門家2人が「タンクのみそが淡い色だったため、化学反応はあまり進行しなかったと考えられる」などとの見解を示した報告書を提出。みそによっては長期間漬けても赤みが残りうると反論した。
弁護側はこの日、検察側が以前に行った実験でも血痕は1カ月で黒くなった点との矛盾を指摘し、さらなる説明を求めた。(新屋絵理、植松敬)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル